散華Q&A

散華についてQ&A形式で分かりやすく解説します。

Q.「散華」とは何ですか?

散華乱舞

A.寺院で法要を巌修する時に、諸仏を供養するために花が撒かれます。これを「散華(さんげ)」といいます。元来は蓮弁をはじめとする生花が使われましたが、いつのころか蓮の形をかたどった色紙が代用されるようになりました。

法要の際、何千枚もの紙花が御堂の屋根から撒かれ、蒼天に五彩舞う情景には格別の風情があります。

東大寺 大仏開眼1250年慶讃大法要記念散華 榊莫山

また、一部の寺院では著名な画家に原画を描いていただき、それを元に木版などで印刷したものを、記念品として使用したり販売しており、それらを小さな美術品として収集しておられる方々も少なくありません。

散華は普通、上の写真のような紙製のタトウに3枚から5枚入っています。上のタトウは東大寺大仏開眼1250年のもので3枚入りです。作家は榊莫山先生です。

Q.散華をたくさん発行しているお寺はどこですか?

薬師寺稚児散華
左から里中満智子・やなせたかし・赤塚不二夫

A.一番多いのは多分薬師寺だと思います。かなりの種類をお参りの記念として買い求めることが可能です。法隆寺は結構たくさん発行しているのですが、ごく一部の人に記念品として渡しているケースがほとんどで、売ったりはしていないので一般的には知られていません。東大寺もかなり昔から発行しています。最近のものはお参りの記念として買い求めることが可能です。

Q.散華をもっとも多く製作した作家は誰ですか?

薬師寺 杉本健吉

A.おそらく杉本健吉画伯だと思われます。清楚で可憐なその作風は、仏教が本来は生きる喜びを謳う宗教だということを感じさせます。東大寺の幡の中にも散華をモティーフにしたものがありますが、すばらしいデザインです。

Q.散華はいつごろからあるのですか?

緑金箋(正倉院宝物)

A.散華はもともと蓮弁や生花が使われていたようです。しかし痛みやすい上に、大きな法要のときなどにたくさん揃えるのが難しいため、いつのころからか紙製の花が代用されるようになったようです。

正倉院に緑金箋(りょっきんせん/正倉院宝物)という蓮弁状の色紙がおそらく3枚残っていますが、おそらく散華に用いられたものと推測されます。これは緑地に金砂子を一面に散り敷いた華やかな逸品です。ということで、多分1200年から1300年あたり前からでしょう。

Q.「華籠」とは何ですか?

華籠(正倉院宝物)

A.「華籠(けこ)」とは、散華を置いておくための籠(かご)のことです。古くは正倉院御物の中にも入っています。竹で編んだものや、金属製のものなどいろいろあります。最近のものは三隅に細い組みひもをたらしています。

金属製の華籠

法要を営むとき、散華はこの華籠の上に並べられます。華籠は本来消耗品ですので、その時々奉納され、消費されていきます。寺に保存されているものは少ないようです。京都の古道具屋さんなどを丹念に探すと、たまに見つかります。寺の名前や奉納された年代などによって値段が変わります。金属製のものは透かしが美しいものがあります。

華籠と散華

木の台の上に華籠があり、その上に散華がおかれています。三条の組みひもが見えます。華籠の上に五色の色紙で出来た散華が重ねておいてあるのが見えます。

Q.散華の形は何の形から来ているのですか?

蓮(ハス)

A.ハスの花びら、蓮弁です。東大寺の大仏さんが乗っておられるのも、巨大な蓮弁の上なんですよ。ハスは紀元前のインドにおいてすでに聖なる花としてたたえられています。そのハスの花びらで清め祝福したものと考えられます。

Q.散華のタトウの中に入っている匂い袋は?

匂い袋

A.タトウの中には薄い紙に包まれて匂い袋が入っています。色紙で出来ているものもありますが、これはシンプルな白い和紙です。 いつごろからこの匂い袋を入れるようになったかということですが、つい先日薬師寺の安田暎胤管長の御記憶では六大寺の集まりの折、当時の唐招提寺の森本管長から、「実際の花びらには香りがあるが紙の散華には香りが無い、代わりに匂い袋を入れてはどうか」との提案があり、それ以来時として匂い袋を入れることがあるということです。

Q.散華についてもっと知りたいのですが、どんな本がありますか?

「季刊銀花 第62号夏 大和の花供養 散華 文化出版局」

A.1985年に発行された、「季刊銀花 第62号夏 大和の花供養 散華 文化出版局」が、もっとも散華に関して詳しくまとめてあるようです。また、写真がすばらしく、実物をご覧になったら皆さんもきっと散華がもっと好きになると思います。

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